【相談の内容】
3か月以上の賃料滞納が続き、また依頼者による取立に対して暴言を吐いたり悪態をついたりする賃借人に対して、早期の明渡しを行うよう依頼を受けた。
【裁判に到るまでの手続き】
弁護士が、依頼を受けたその週に、早速駐車場に赴くと同時に近隣に住む賃借人に対して未払い賃料の支払及び早期退去を求めた。
改めて内容証明による賃貸借契約の解除を求めたところ、賃借人は内容証明の受取を拒否した。そのため、裁判手続による明渡を行うほかないと判断し、普通郵便による解除の意思表示を行うと同時に訴訟を提起した。依頼を受けてから訴訟を提起するまで約3週間程度かかった。
しかし、相手方は裁判所から送られてくる書類の受領を拒否したため、代理人において書留郵便による送達を行い、ようやく裁判が開かれるに至った。
【裁判及び強制執行の経過】
相手方は結局裁判に出頭せず、依頼を受けてから約2か月弱で勝訴判決を得ることができ、即刻強制執行手続に着手した。その後、相手方は任意に明渡を行い、依頼を受けてから約3か月程度で駐車場の明渡が完了した。
【解決のポイント】
裁判を提起した場合裁判所からの連絡は基本的に郵便で行われ、賃借人は郵便局員から直接郵便物を受け取る必要がある。
しかし、賃借人が、時間稼ぎのため、裁判所からの郵便物を直接受け取らないケースが往々にしてあり、原告は郵便物の送り先を被告の勤務先に変更したり(※就業先送達)、被告に手渡しするのではなく被告のポストに投函する方法(※書留郵便による送達)に変更するよう裁判所に申し立てる必要がある。
この場合、被告人の勤務先の調査や、被告人の住居の現地調査等様々な準備や対応をせまられることが多い。
本件は、依頼を受けたその週に相手方の住居を尋ね、住居の現地調査を事前に行うことによって、相手方の時間稼ぎに惑わされることなく、通常の明渡裁判に必要な期間である3か月程度で明渡を実現することができた。
【相談の内容】
依頼者名義の土地に、遠縁の人が居住しており、権利関係を整理したい。依頼者が30年以上固定資産税を払っているにもかかわらず、相手方が何ら負担もなく住み続けていた。
【手続きの経過】
直ちに調停を提起して、賃貸借契約を締結するか、相当額で買い取ってほしい旨主張した。相手方は時効取得(長年、他人の土地に住みつくなどした場合に自分の物になるという制度)の成立を主張し、土地は自分のものであるから、賃料も買い取ることもしないと主張した。
相手方が30年近く住み続けていた土地であり、相手方が住み続けた経緯が不明な点が多かったが、戸籍や事実関係を調査して、時効取得を成立させなかった。また、依頼者が望む額で買い取ってもらうこととなった。
【解決のポイント】
相手方が時効取得を主張してきたが、戸籍や事実関係を十分に調査し、過去の裁判例なども精査したうえで、時効取得を否定することが出来た(相手の物とはならなかった)。時効取得については、法的な知識が必要となる場面が多く、他方で、時効取得の成否によって大きな金額が動く可能性があるため、事前の法的な知識が役立った事案といえる。
【相談の内容】
賃料の滞納が1年以上続いており、賃借人と連絡も取れないため、明渡しをお願いしたいとの依頼を受けた。
【裁判に到るまでの手続き】
内容証明郵便をもって未払賃料の催促及び1週間以内に支払わない場合には賃貸借契約を解除するとの意思表示をした。
しかしながら、相手方は、内容証明郵便を受け取らなかったため、特定記録郵便でも同内容の手紙を送った(この意味については、下記「4 解決のポイント」を参照されたい)。
その後、未払賃料及び建物の明渡しを求めて訴えを提起した。
【裁判及び強制執行の経過】
相手方は裁判に出頭しなかったため、第1回口頭弁論をもって弁論を終結し、その1週間後、当方の主張を全面的に認める内容の判決が出たため、強制執行の申立てをした。
強制執行の申立てをすると、まずは明渡催告という手続きが取られる。これは、裁判所の執行官が借家を尋ね、改めて任意の明渡しを促す手続きである。
弊所の弁護士が裁判所の執行官とともに明渡催告に向かったところ、相手方は実際に居住していたが、遂に観念し、2週間後に明渡すという約束を取り付け、2週間後、弊所の弁護士が賃借人から鍵を預かり、無事に明渡しを完了した(※当然ながら明渡しが完了するまでは強制執行を取り下げることはないため、仮に明渡しの約束が履行されなかった場合、通常通り強制執行をすることになる)。
【解決のポイント】
賃料不払いを理由に賃貸借契約を解除する場合、事前に、証拠に残る形で、相当期間を定めた未払賃料の催告を行う必要がある。
しかしながら、相手方が内容証明郵便を受け取らない場合、これを行うことが困難となる。
そこで、内容証明郵便と同内容の特定記録郵便を作成し(特定記録郵便はポストに配達される)、これらを同時に発送し、内容証明郵便には、“同内容の文書を特定記録郵便でも送付した”旨記載することで、返送された内容証明郵便と特定記録郵便の発送記録をもって、ほぼ確実に催告がされたことを証拠化することができる。
よって、本件のように内容証明郵便を受け取らない相手に対しても、確実に明渡しを実現することができる。
【相談の内容】
賃料の滞納が続き、また、建物内やその周囲に異臭を放つゴミを堆積させており近隣住民からの苦情があるため、早期の明渡しをお願いしたいとの依頼を受けた。
【裁判に到るまでの手続き】
内容証明郵便をもって未払賃料の催促及び1週間以内に支払わない場合には賃貸借契約を解除するとの意思表示をした上で、未払賃料及び建物の明渡しを求めて訴えを提起した。
【裁判及び強制執行の経過】
相手方は、弁護士を付けずに裁判に臨み、明渡す必要がないと争い、時間稼ぎともとれるような対応をした。
そこで、当方は、裁判官に対し、証拠が揃っており、もはや議論の必要がないから(相手方の主張が法的に無意味なものであることは明らかであったから)、早期に弁論を終結するよう促した。
その結果、最終的に2回の期日をもって裁判が終結し、当方の主張を全面的に認める判決が出た。
相手方は、判決が出たにもかかわらず、明渡しに応じることがなく、控訴に及んだため、当方は控訴に応じると同時に、控訴審で勝訴することは明らかとの予測のもと、控訴審の判断を待たずに第一審判決をもとに強制執行の申立てをした。
強制執行手続きは順調に進み、強制執行の申立てから約1か月で明渡しを完了した。なお、当然ながら控訴審でも相手方の主張は認められなかった。
加えて、本ケースでは、借主の親族が連帯保証をしていたため、当初は連帯保証人も含めて訴えていたが、その連帯保証人が高齢であり、また、未払賃料等に充てるために100万円の支払いを申し出たため、当該金員の支払いと引き換えに連帯保証人については訴えを取り下げた。
依頼主 50代 女性
【相談前】
ご相談者様のお母様が亡くなり、残された家に住んでいたところ、他の相続人から遺産分割調停を起こされました。他の相続人は、”家を渡すのはいいが、相続分について金銭で支払ってほしい”との主張をしていました。
【相談後】
他の相続人にも相続分があるので、ご相談者様が引き続き家に住むためには、他の相続人に金銭を支払う必要がありました。もっとも、その金額を決めるには、不動産の評価額が問題となります。
最終的に、遺産分割調停において、調停委員の方が不動産鑑定士であったため、他の相続人とともに、当該調停委員の方が算出した不動産価格を基準に、他の相続人の相続分を金銭で支払うということで事前に合意することができました。
算出された金額は、想定された金額よりも低かったため、結果的には満足のいく結果となりました。
【コメント】
遺産分割の際には、不動産の価格が問題になることが多いです。裁判所で鑑定を行うこともできますが、費用が多額になることがあります。
今回は、偶然にも調停委員の方が不動産鑑定士であったため、費用を全く負担することなく、正確な鑑定をしていただくことができました。
早期解決に至った事例として紹介させていただきます。
依頼主 60代 女性
【相談前】
ご相談者様のお父様が亡くなったのですが、遺言があり、内容としては、お父様の面倒を看ていたご相談者様が全ての遺産を取得するというものでした。しかしながら、遺言が発見されてから間も無くして、他の相続人から遺留分減殺請求の内容証郵便が届きました。
【相談後】
遺留分は権利ですので、民法に規定された遺留分相当額を支払う必要がありました。もっとも、相続財産の多くを不動産が占めていましたので、その評価によって遺留分額が変動する状況にありました。最終的に、不動産の査定に関する資料を集め、相手方に納得していただけるような評価の根拠を示した上で遺留分額を示し、当該金額を支払うことで合意することができました。
【コメント】
遺留分減殺に関する事件は、近年多くなってきています。そして、不動産が相続財産の割合の多くを占める場合、価額弁償といって、金銭の支払いをもって解決することが多いです。
遺留分の割合というのは民法に規定されていますが、相続財産の多くを不動産が占める場合、その評価によって遺留分額が相当変動します。相続税の申告は路線価を基準に行われますが、裁判では路線価でなく実勢価格が基準となります。
他方で、価額弁償に合意できない場合、各不動産に遺留分割合の持分登記が入ることになりますが、遺留分権利者としてもそれを望んでいない場合が多く、そうすると実勢価格より低い金額でも解決することができる場合があります。
遺留分権利者の真意を探りつつ、慎重な交渉が求められる事件類型といえるかもしれません。
依頼主 60代 男性
【相談前】
ご相談者様は、お母様の不動産をご兄弟で相続し、共有持分を有していました。もっとも、ご相談者様は当該不動産に住んでおらず、持分を持っていてもメリットがなかったため、共有関係を解消したいとのことでした。当該不動産に住んでいる他の相続人(ご兄弟)は、お金がないと言って、ご相談者様の持分を買い取ることも、当該不動産を共同で売却することも拒否していました。
【相談後】
遺言に基づく登記がされていましたので、遺産分割調停ではなく共有物分割訴訟を提起する必要がありました。共有物分割訴訟を提起することで、不動産を競売にかけて売却代金を分けるか、皆で一般に売却して売却代金を分けるかの二択を迫ることができ、最終的に、共有者全員で一般に売却する旨の和解をすることができました。
【コメント】
一口に共有といっても、その解消の手段は一つではありません。
法定相続で登記がなされた場合には遺産分割調停を起こす必要がありますが、遺言に基づく登記がなされた場合には共有物分割訴訟を起こす必要があります。
そして、現物分割が困難な場合、代償分割といって共有者の一部が他の共有者の持分を買い取るか、換価分割といって競売で売却し売却代金を分ける、といった選択を迫られることになります。
一般的に、競売での売却の場合は金額が落ちてしまうため、それなら皆で売却しましょうということになることが多いです。
また、最終的には裁判官が分割方法を決めることになるため、有利な分割方法に導くためにも弁護士が関与する意味は大きいかと思います。
73歳の高齢者(男性「Cさん」)からのご相談。
Cさんによると、不動産会社から「土地を売りませんか?」と電話連絡があった。丁度処分に困っていた地方の農地があったので、話を聞くと、500万円で購入するとのことであった。Cさんは地方でしかも農地であるにもかかわらず500万円という高額で売却できることに喜び、契約に応じたところ、何枚もの契約書と委任状に署名・捺印を求められた。
しかし、業者からの支払いはなく、土地の名義も第三者に移転していた。
弊所としては、不動産会社の所在を確認し、連絡をしたが、同社はなかなか話し合いに応じる姿勢を見せなかった。そこで、刑事処分や仮処分の通知をしたところ、300万円の支払いに応じたが、残金の支払いはなかった。Cさんの意向もありそれ以上の請求は断念した。
85歳の高齢者(男性「Bさん」)より証券コンサルタントを名乗る者に3000万円を預けたが返還してくれないと相談があった。
加害者は証券コンサルタントを名乗り、Bさんに対し、はじめは500万円の投資を持ち掛け、次に、「更に500万円を追加しなければ最初の500万円もなくなってしまう」とBさんを煽り、合計3000万円を投資させた。Bさんは老後資金が底をついたところで、ようやく加害者に不審を感じ、弊所に相談したとのことであった。
弊所は、証券口座の履歴開示を求め、場合によっては告訴を行う旨を通知したところ、加害者の弁護士より、「証券に投資したのは嘘であり、預かったお金は費消してしまった」との回答があった。
弊所は告訴を前提に、どの程度の金銭賠償ができるかを交渉したところ、800万円までならなんとか支払えるが、それ以上であれば刑事処分に服するとの回答であった。Bさんと検討した結果、800万円の返還に応じることとした。
84歳の高齢者(女性「Aさん」)の姪から相談の連絡があった。
大手証券会社を名乗る者がAさんに証券取引を持ち掛け、女性の預金、保険等をすべて解約し、合計1億数千万円の現金を拠出させた上で、自ら立ち上げた証券会社の口座に入金させ、資産を勝手に運用しているとのことであった。
女性は独り暮らしで、認知症に罹患していたため、詐欺まがいの話を断れなかった。
弊所は、詐欺による告訴を行なった上で、金銭の返還に応じるならば告訴を取り下げるとして内容証明による返還請求を行ったところ、男は直ちに1憶5000万円の返還に応じた
弁護士法人 湘南LAGOON
~Shonan LAGOON Law offices~
代表者:高宮隆吉
(神奈川県弁護士会所属)